炎を崇め 炎を敬い 炎を制する
第一日目の夜、吉田神社境内で行われる手筒花火の奉納は、氏子達が己の身を清め、神殿に忠誠を誓う信仰的儀式。しかし、その壮絶で勇壮な様は、見る者の心を揺るがして止まない。ひとたび点火されたら最後、その筒は荒れ狂う火柱と化す。降り掛かる火の粉に耐えつつ、下方に激しく抜けるハネの瞬間まで、自らが礎となって花火を携え続けることは、花火製造者としての責任、そして氏子としての宿命。
第二日目、市民の話題は豊川河畔での大打上花火大会に集中します。その発数や賑やかな人手もさる事ながら、これほど市街地で打ち上げられる花火は、他にあまり類を見ません。それだけにいつも見なれた街の夜空に大輪の花が開く様は、その大音響と相まって観る者の心を釘付けにします。
地域の各花火業者に混ざって打上作業に従事するのは、この日の為に講習に参加し、資格を受けた氏子達。安全基準を正しく守り、代々伝わる豊橋祇園祭の打上花火を正しく後世に伝えるために、見えない所での努力は続いています。
豊橋祇園祭奉賛会 会長 酒井 数美